かんそう。

出会いはスローモーション

 まったく役にたっておらずこれから先も役立ちそうもないが、私は女子大の児童学科卒で、専攻は児童文学だった。その必要上「指輪物語」は学生時代に読んでいた。「ホビットの冒険」は子供の頃読んでいた。

 で、学生時代に大感動して「指輪物語」ファンになっていたというと、カッコイイのだが、残念ながらそうではなかった。学生時代は、ケストナーやリンドグレーンなどが好きで、ファンタジーでも、神話・伝説的要素の強いものより身近に感じられるような素材が好きだった。

 また、とにかく速読主義?の私には、似通った人名がたくさん登場する(地名との区別もつかない・笑)壮大な物語にそれほど心をひかれていなかった。TVゲームも当時はやらず、RPGなんてのみもまったくなじみがなかった。同じゼミのMちゃんの卒論は「指輪物語」だったが、よくこんなたいへんそうなものを…と思ったくらいだった。Mちゃん、ごめん。私が間違ってました(いまでは年賀状を送るくらいのつきあいだがぜひ映画の感想をききたいものです)。

 ただ、ハッピーエンドではなく、主人公があまりにむくわれないままで終わったことはかなり印象に残りました。犠牲になって死んだとかいうヒロイックなのとは違うレベルでのむくわれなさ(日本語ヘン)なので、エンディングはよく覚えていた。むしろ、この報われなさが好きではなかったのかもしれませんね。今思うと、ですが。登場人物では、レゴラスとギムリのこの物語の中にあって、なんとなくのんきに思えるやりとりが好きでした。

 というわけで、「指輪物語」が映画化、というニュースを聞いて「へぇ〜、どうやってまとめるんだろう。お金かかりそうだ」くらいしか思わず、キャストが次々発表されても「フロドはイライジャ・ウッドかぁ〜。うまいし子役としては有名だけど、大作の主演じゃ地味。まぁ小柄で主役級なんてそういないけど」などと失礼な感想を持ち、ケイト・ブランシェット、イアン・マッケランなどなど俳優が発表されるにつれ「うまいけど地味」な印象がぬぐえず、客寄せのメジャーどころがリブ・タイラーで、いかにも現代的なイメージの彼女が、それほど物語に溶け込みそうに思えなかったので(最初、エオウィンやるのかと思っていた。それもイメージ違いですが)まったく期待していなかった。

 どれくらい期待していなかったかというと、とりあえず前売り券を買ったけど、メインの劇場での上映が終わり、2番館での上映になってから「そろそろ見に行かないと上映が終わるかも」という状況で見に行ったというくらいの気合いのなさでした。話題もほとんどチェックしてなかったし…。テレビをほとんど見ないので、CMすらみてなかったし、映画館になかなか行けず、予告編すらチェックしていなかったという状況。

 そして鑑賞。そこから後は、言わずもがな、で、指輪にとりつかれ今日まできたわけです。実家に電話して学生時代の本を探して送ってもらおうかと思ったけれど、親に説明して探してもらうのも埒があかなそうなので、文庫を即購入。改めて読むと、なんとさまざまな興味を抱かせることでしょうか。まぁ昔の私は子供だったということにしておこう。

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